2021年東京都内路線価 8年ぶり下落 観光地・繁華街での下落が顕著

Poste date: 2021年7月5日

国税庁が7月1日に発表した2021年分の路線価(1月1日時点)は、全国平均で前年比0.5%のマイナスとなり、6年ぶりに下落した。 新型コロナウイルス禍による訪日客の急減や消費の低迷が地下を押し下げ、東京、大阪、名古屋を含む39都道府県で下落、特に観光地や繁華街の下落が目立つ結果となった。東京都内の路線価は前年比で平均1.1%の下落となり、13年以来8年ぶりの下落となった。新型コロナウイルスの感染拡大による外国人観光客の減少が響き、浅草などの観光地や繁華街での下落が目立った。

全国の都道府県所在地の最高路線価において前年からの下落率が最も大きかった地点は、周辺に世界遺産を抱える奈良・大宮通りの-12.5%がトップとなり、神戸・三宮センター街(-9.7%)、大阪・御堂筋(-8.5%)とつづいた。また前年に40.5%の上昇をした那覇・国際通りも-1.4%のマイナスに転落した。

東京では都内の税務署管内ごとの最高路線価において10%以上下落したのは2地点で、浅草の雷門通り(-11.9%)と秋葉原の中央通り(-10.5%)となった。雷門通りは前年、上昇率が33.9%と都内で最も高かった。また下落率の上位には上野や銀座、新宿など都心部の商業地が並ぶ結果となった。都内の全47地点(前年と比較できない江戸川北署を除く)では、37地点で下落した。都内で上昇したのは、訪日客の影響が少なかったとみられる北千住の1.9%や西新井の1.7%、麻布の0.5%の3地点のみで、いずれも上げ幅は縮小した。また7地点が横ばいだった。 全国で最も高い路線価は東京・中央区銀座中央通りの「鳩居堂」前で1平方メートルあたり4272万円。36年連続日本一となったが、前年比-7%の下落となった。

地価調査関係者によると、都内の地価動向について地域や土地の用途によって地価の動きの違いが出ているとのこと。飲食店が集まる都心の繁華街や外国人観光客への依存度が高い地域では地価が下がる一方で、地元の商店街で食事や買い物を済ませようする動きが見られ、都心部以外のエリアは比較的堅調だったと見ている。

今後の市況動向について、ある研究機関は、「住宅地やオフィス街はコロナの影響を受けにくく、観光地などと比べて地価も安定している」分析し、また別の研究機関は「都内の企業では在宅勤務も進み、商業地の賃料は下がる局面に入り、来年に向けて路線価も下落する地点が増えるのではないか」と見ている。一方、不動産投資市場からは違った側面も見える。ある不動産サービス大手によると、2020年の海外投資家による日本国内不動産への直接投資額は1兆5547億円で、前年比で6割近く増えたとのこと。国内の大手企業が業績悪化で保有不動産を売却する動きが相次ぐなかで、海外勢が買い手となっている。世界的な低金利下で、少しでも高い利回りを狙う海外投資家にとって、「オフィスビルや商業施設が集積する東京は世界的にみても魅力的な投資対象が多い」とみられる。

 

2021年分の最高路線価

(1平方メートル当たり単位千円、カッコ内は対前年変動率%、順位は税務署別)
順位・税務署 路線名 路線価
1. 京 橋 中央区銀座5丁目
銀座中央通り
42,720 (- 7)
2. 新 宿 新宿区新宿3丁目
新宿通り
29,680 (-3.6)
3. 渋 谷 渋谷区宇田川町
渋谷駅側通り
28,720 (- 3)
4. 四 谷 新宿区新宿3丁目 
新宿通り
26,640 (- 5.9)
5. 麹 町 千代田区丸の内2丁目 
大名小路
25,520 (- 1.1)
6. 日本橋 中央区八重洲1丁目
外堀通り
18,080 (- 3)
7. 麻 布 港区北青山3丁目
青山通り
16,880 (0.5)
8. 芝 港区新橋2丁目
新橋西口駅前広場通り
13,920 (0)
9. 豊 島 豊島区東池袋1丁目
グリーン大通り
11,510 (- 2.8)
10. 東京上野 台東区上野4丁目 
中央通り
8,320 (- 8)

(2021年7月2日 日本経済新聞、東京新聞より)

※路線価とは

国税庁が発表する主要な道路に面した土地の1平方メートルあたりの標準価格(1月1日時点)。相続税や贈与税の算定基準となる。国土交通省が発表し、一般的な土地取引の指標となる公示地価より調査地点が多く、土地の相場を詳細に把握できる。 公示地価の水準の8割程度で売買実例も参考に算出する。

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